「親の顔色をうかがう」子ども時代を生きてきた人へ|大人になっても消えない癖の起源と、手放す7つの内省ステップ

「親の顔色をうかがう」子ども時代を生きてきた人へ|大人になっても消えない癖の起源と、手放す7つの内省ステップ

内省クラスで、相談者さんと一緒に見つけてきたことをもとに書いています。例や工夫は、分かりやすくするために添えています。

この記事について

こんにちは、田尻愛です😌
「自分を犠牲にしない生き方」を伝える、
メンケアの学校を主宰しています。

内省の専門家として、
これまで累計3000件以上の内省クラスに立ち会ってきました。

親の顔色をうかがう子ども時代を過ごした方が、
いまも続く「人の顔色をうかがう癖」の出発点にたどり着き、
少しずつ手放していく。

そんな時間を、たくさん見てきました。

この記事では、
親の顔色をうかがう癖がどこで生まれて、
どうやってほどけていくのかをお伝えしますね。

親が怖いのに、好かれたいとも思ってしまう。
そんな気持ちを抱えたまま、
大人になった方もいらっしゃるかもしれません。

親の顔色をうかがう癖は、
家を出ても、親と距離を取っても、
「人の顔色をうかがう癖」に姿を変えて残ることがあります。

「もう大人なんだから、気にしなければいい」
そういう言葉、よく見かけますよね。

でも、頭でそう思っても、
実家に帰った瞬間や、上司の表情が曇った瞬間に、
やっぱり体が先に反応してしまう。

お母様との関係について、
ある相談者さんは、こう話してくれました。

相談者さん

ある相談者さん怖いから一緒にいたくない、でも好かれたい。そう思っていたんです。
相談者さん

その相談者さんとにかく母の気持ちを掴もうと必死で、掴めなかったら絶望していたと思います。

でも、これは性格が弱いからでも、
気にしすぎだからでもないんです。

安心が足りない家庭で、
子どもだったあなたが、
親の顔色を読むことを身につけてきた。

だから大人になった今も、
体が先に顔色を読んでしまうんです。

本題に入る前に、
この記事でいちばん大事な見方を、先に置いておきますね。

親の顔色をうかがう癖とは、
安心が足りない家庭で、
子どもが家族のバランスを取るために身につけた、
生き延びるための技術のことです。
生まれつきの性格ではありません。

この見方を持てるだけで、
自分の責め方が、少しずつ変わってきます。


目次

  1. なぜ親の顔色をうかがう子になったのか|「必死か絶望か」という心の仕組み
  2. 親の顔色をうかがって育った人に、大人になっても現れる5つのサイン
  3. 「掴もうとする手」をほどく7つの内省ステップ
  4. 親の顔色をうかがう癖がほどけてきたときの3つの変化
  5. よくある3つの誤解と、つまずきポイント
  6. おわりに|うかがう顔色から、自分の顔色へ

1. なぜ親の顔色をうかがう子になったのか|「必死か絶望か」という心の仕組み

親の顔色をうかがうことを、
この記事では「親の気持ちを掴もうとする手」と呼びますね。

掴めたら、安心。
掴めなかったら、絶望。
子どもの毎日は、その繰り返しだったのだと思います。

お母様の話が多く出てきますが、
お父様との関係でも、仕組みは同じです。

子ども時代を振り返って、
ある相談者さんが口にした言葉です。

相談者さん

ある相談者さん子どもは、お母さんの笑顔を見るために生まれてくるものだと、ずっと思っていました。

胸が詰まる言葉ですよね。

本来なら、子どもの人生の目的地は、
子ども自身のもののはずです。

それなのに、目的地が「親の笑顔」に、
すり替わってしまっている。
ここに、顔色をうかがう心理の出発点があります。

では、どうして目的地がすり替わるのでしょう?

内省クラスでお聞きしてきた場面から見えてくる入り口は、
大きく3つあります。

① 何をしても怒られて、予測がつかなかった
② 家に、安心できる時間が足りなかった
③ 親の機嫌が、家の中でいちばん強い力を持っていた

この3つに共通しているのは、
子どもの側に落ち度がないということ。
どれも、家の環境の話なんです。

実際の内省の場での言葉から、
ひとつずつ見ていきますね。

① 何をしても怒られて、予測がつかなかった

ある相談者さんは、
子ども時代の毎日を、こう振り返りました。

相談者さん

ある相談者さん悪いことをしたつもりはないのに、怒られていました。気をつけても、怒られていたんです。母のことは、怖いと思っていました。

何が怒りのスイッチになるのか、分からない。
だったら、スイッチが入る前の「顔」を見張るしかない。

予測がつかない怒りが、
顔色を読む力を育てていくんです。

② 家に、安心できる時間が足りなかった

この仕組みを、
わたしはこうお伝えしたことがあります。

田尻愛

田尻心から安心できる時間が足りないと、子どもはとても良い子になるんです。そうして、両親のバランスを取ろうとするんですよ。

良い子というのは、
安心が足りない家で、子どもが家族の空気を支えるために、
引き受けた「役割」なんです。

親の機嫌の浮き沈みを、先回りして読む。
波が立たないように振る舞う。
それが、良い子の中身だったりするんですよね。

③ 親の機嫌が、家の中でいちばん強い力を持っていた

不機嫌で家族を動かす。
罪悪感を持たせて、言うことを聞かせる。

そういう家では、
親の機嫌が、家のルールそのものになります。

親の顔を確かめてからでないと、
今日の自分の振る舞いを決められない。
子どもにとって親の顔色は、
その日一日を左右するものだったんです。

この3つの入り口を、毎日くぐるうちに、
親の気持ちを掴もうとする手は、
速く、正確になっていきました。

親の機嫌に合わせていた家と、安心が土台だった家。
ふたつの違いを並べると、こうなります。

① 子どもの毎日の仕事
🥀 機嫌に合わせていた家

親の機嫌を読んで、家族のバランスを取ること

🌱 安心が土台だった家

遊ぶこと、失敗すること、子どもでいること

② 「良い子」の意味
🥀 機嫌に合わせていた家

波風を立てない子。親の機嫌を守る役割

🌱 安心が土台だった家

失敗しても大丈夫な子。役割はいらない

③ 大人になってからの人間関係
🥀 機嫌に合わせていた家

職場でも友人でも、人の顔色をうかがい続ける

🌱 安心が土台だった家

相手の機嫌は相手のもの、と切り分けられる

ここで、この記事の土台になるやりとりを、
ひとつご紹介しますね。

「相手の好まないことを言ったら、攻撃されてしまう」
そう感じる場面で、最初に顔が浮かぶのは誰か。
ある相談者さんに、そうお聞きしたときの答えです。

相談者さん

ある相談者さん母以外は、浮かびません。ほかの人の顔色をうかがう必要は、なかったと思います。

職場で、友人関係で、恋愛で出てくる、
「人の顔色をうかがう癖」。

この方の場合、
その練習相手は、たった1人の親だったんです。

だから、癖をほどく入り口は、
始まりの親子関係のほうにある。
わたしは、そう考えています。


2. 親の顔色をうかがって育った人に、大人になっても現れる5つのサイン

親の顔色をうかがう子ども時代を過ごした人の「今」には、
自分でも気づきにくい形で、
その癖が残っていることがあります。

内省クラスでお聞きしてきた、5つのサインです。
いまのご自身に当てはまるものがないか、
見てみてくださいね。

SELF CHECK
  • ✓実家に帰ると、昔の緊張が体に戻ってくる
  • ✓親を「怒らせないように」が、今も親子関係の基本になっている
  • ✓友達といても、その場の全員の顔とテンションが気になる
  • ✓職場で、上司や同僚の機嫌をずっと観察してしまう
  • ✓顔色をうかがわなくていい相手を選ぶのに、どこか虚しさが残る

当てはまるものがあれば、
子ども時代の「掴もうとする手」が、
まだ動いているサインかもしれません。

これは欠点の診断ではありません。
癖の出どころを確かめるための目安です。

サイン1:実家に帰ると、昔の緊張が体に戻ってくる

ふだんは普通に暮らせているのに、
実家に帰った瞬間だけ、別人のように小さくなる。

ある相談者さんは、
身近な人からの指摘で、自分の変化に気づいたそうです。

相談者さん

ある相談者さん実家に帰ると、口には出さなくても、落ち込んだり怯えたりしているらしいんです。身近な人に『見ているこっちも辛い』と言われて、無意識に出てしまっているんだと思いました。

自分では隠しているつもりでも、
体は正直です。

顔色をうかがう癖は、
頭より深く、体が覚えているもの。
だから、親のいる空間に入ると、
自然に出てきてしまうんですよね。

サイン2:親を「怒らせないように」が、今も親子関係の基本になっている

大人になっても、
親との関わり方の基本が、
子どもの頃のまま変わっていないケースです。

ある相談者さんは、こう話してくれました。

相談者さん

ある相談者さん怒らせないように、不機嫌にされないように。今もそれが、当たり前になっていると思います。

会う回数を減らしても、連絡を最小限にしても、
関わるときのモードが「警戒」のままなら、
癖はまだ続いています。

責めたいわけではありません。
癖の根の深さを、知っておいてほしいんです。

サイン3:友達といても、その場の全員の顔とテンションが気になる

親という1人から始まった、顔色を読む力。
大人になると、それが「その場の全員」に向くことがあります。

楽しいはずの集まりから帰ると、
どっと疲れている。

それは、遊んでいるあいだもずっと、
全員分の顔色を見張る仕事を、
していたからなのだと思います。

実家から帰ったあと、ぐったりしてしまうのも、
そこにいるあいだ、ずっと見張り続けた疲れなのかもしれません。

サイン4:職場で、上司や同僚の機嫌をずっと観察してしまう

冒頭でお伝えした「上司の表情が曇った瞬間」のように、
顔色を読む力は、職場でも動き続けます。

その相手は、上司だけとは限りません。
同僚や部下の機嫌まで、ずっと気になってしまうこともあります。

実家で親の顔を見たときと、仕組みは同じです。

周りからは、気配りのできる人に見えるかもしれません。

でも内側では、子ども時代と同じように、
顔色を読む力がずっと動いていて、
休まる時間がないんです。

気配りと、顔色うかがい。
ふたつの違いは、消耗度に出るんですよね。

サイン5:顔色をうかがわなくていい相手を選ぶのに、どこか虚しさが残る

これは、少し意外なサインです。

人を選ぶときに、
無意識に「安全な人」だけを選び続けるパターン。
ある相談者さんは、こう振り返ってくれました。

相談者さん

ある相談者さん顔色をうかがわなくていい人を選んでいたので、欲しいもののためにうかがうこともなく、それはそれで楽しかったんです。でも、どこか虚しくて。これを繰り返すのは、たぶん違うと思いました。

顔色をうかがう場面を避けるのは、
一時的には、自分を守る方法になります。

ただ、避けているだけでは癖の根はほどけない。
だから、安全な関係の中でも、
満たされなさが残ってしまうんです。

この虚しさは、
「そろそろ根っこと向き合う時期だよ」という、
合図なのかもしれません。


3. 「掴もうとする手」をほどく7つの内省ステップ

ここからは、動き続けてきた手の、
ほどき方のお話です。

顔色をうかがう癖をほどくのに、
親を許したり、鈍感になったりする必要はありません。

やることは、
親の気持ちを掴もうとしてきた手に気づいて、
その手を少しずつ、自分のほうへ戻していくこと。
順番に見ていきますね。

STEPS
1
顔色をうかがっている瞬間に、責めずに気づく
2
「誰の顔色から始まったのか」を、記憶でたどる
3
当時の内側に「必死か絶望か」と名前を付ける
4
押し込めた我慢が、どこで漏れているかを見る
5
「親の未熟さ」という見方を、自分で作る
6
親の荷物を、親にお返しする
7
親もまた、誰かの顔色を見て生きてきたと知る

▼
掴もうとする手が、自分のほうへ戻ってくる

Step1:顔色をうかがっている瞬間に、責めずに気づく

最初のステップは、「気づく」ことです。

職場で、相手の表情が曇った瞬間。
親からの着信を見た瞬間。
体がこわばって、頭が相手の機嫌を分析しはじめる。

その瞬間に、
「あ、いま手が伸びてるな」と気づいてみてくださいね。

気づくことと、やめることは、別のことです。
でも、気づかなければ、やめようがないんです。

ここで大事なのは、
気づいたときに「またやってる、自分はダメだ」と責めないこと。

その手は、子どものあなたを守ってきた手です。
責めるより、ねぎらってあげたい手なんです。

🔑 責めずに気づくコツ

1日の終わりに、
「今日、顔色をうかがった回数」をメモしてみるのも、
ひとつの方法です。
数字をひとつ書くだけで、大丈夫です。

数えているあいだは、自分を裁かずにいられます。
回数が見えてくると、
癖を少し外から眺められるようになっていきます。

Step2:「誰の顔色から始まったのか」を、記憶でたどる

癖の出どころを確かめるとき、
わたしはこうお聞きしたことがあります。

田尻愛

田尻お母様の顔色や様子をうかがいながら、自分の行動を決めていた記憶はありますか?

この問いに、ご自身でも答えてみてほしいんです。

浮かんでくる場面があるなら、
今の「人の顔色をうかがう癖」は、その場面の続きなんです。

職場の人間関係の問題に見えていたものが、
実は、始まりの親子関係から続いていたと分かる。
出どころが分かると、向き合う場所が変わります。

🔑 記憶をたどるコツ

顔色をうかがっていた相手を、
思いつく順に書き出すところから、始めてみませんか?

最初に浮かんだ1人が、
癖の練習相手だった人かもしれません。

Step3:当時の内側に「必死か絶望か」と名前を付ける

冒頭の相談者さんは、
こんなふうにも振り返っていました。

相談者さん

その相談者さん必死か絶望か、どちらかだったと思います。

この記事の中心になる言葉です。

必死か、絶望か。
真ん中がないんです。

「まあいいか」「今日はこのくらいで」という中間がなくて、
掴めたら、束の間の安心。
掴めなかったら、世界の終わり。

この二択の激しさが、
顔色をうかがう癖を、ずっと動かしてきたんです。

当時の内側に、
「あれは、必死か絶望かの世界だったんだ」と、
名前を付けてあげる。

すると、今の自分がどれだけ極端な揺れの中で、
人と関わってきたかが見えてきます。

🔑 名前を付けるコツ

人の機嫌が気になった場面で、
「いまの自分は、必死寄り? 絶望寄り?」と、
自分に聞いてみてくださいね。

答えは、どちらでも構いません。
そう聞いているあいだは、
自分の気持ちを、少し離れたところから眺められています。

Step4:押し込めた我慢が、どこで漏れているかを見る

顔色をうかがう毎日は、我慢の積み重ねです。

言いたいことを飲み込む。
やりたいことを後回しにする。
波風を立てない自分を保つ。

でも、押し込めた我慢は消えません。
どこかで漏れてくることがあります。

内省クラスで、こんなやりとりがありました。

子ども時代、家では顔色をうかがって息をひそめていたのに、
家の外では、逆に目立つ行動を取っていた、
ある相談者さんへの問いです。

田尻愛

田尻顔色をうかがって過ごしていたなら、なるべく目立たないようにするはずですよね。でも当時は、逆に目立つことをしていた時期があった。それは、どうしてだと思いますか?

返ってきた答えは、ひとことでした。

相談者さん

ある相談者さん我慢できなかったんです。

そうなんです。
家で押し込めた我慢は、家の外で漏れることがあります。

大人になった今も、
どこか別の場所で漏れているのかもしれません。

漏れている場所を責める前に、
「ここで漏れるくらい、我慢していたんだな」と、
我慢のほうに目を向けてあげてくださいね。

🔑 漏れ口を見つけるコツ

「自分でも不思議なくらい、やめられない行動」を、
1つ挙げてみるのもおすすめです。
それが、我慢の漏れ口かもしれません。

ふさぐより先に、
「その分、どこで我慢しているんだろう」と、
探してみてくださいね。

Step5:「親の未熟さ」という見方を、自分で作る

ここから、少し深いところに入ります。

回復の仕組みについて、
わたしはこうお伝えしたことがあります。

田尻愛

田尻『親の未熟さ』という見方がないから、怯えるんです。この見方は、自分で作るしかないんですよ。作ってから親を眺めると、怯えではなく、『何を言ってるの? 大丈夫?』というリアクションになるんです。

子どもにとって、親は絶対的な存在です。

だから親が理不尽に怒っても、
「親が未熟だから」ではなく、
「自分が悪いから」と受け取るしかありませんでした。

良い子のまま大人になるというのは、
親の未熟さに気づかないまま、
大人になっていくということでもあるんです。

反抗期は、本来この見方が生まれる時期。
それがないまま来たなら、
今から自分で作っていけばいいんです。

「未熟さ」は、親を見下すための言葉ではありません。

「あの人も、感情の扱い方を知らない1人の人間だった」と、
親を等身大まで降ろしてくるための言葉です。

絶対的な存在の機嫌は、怖い。
でも、未熟な1人の人間の機嫌なら、
怖さの意味が変わってくるんです。

🔑 見方を作るコツ

親が怒っていた場面を、ひとつ思い出します。
そして、同じことを、大切な友達がされていたら、
どう見えるかを想像してみるんです。

怒っている側が、
「感情の扱いが苦手な人」に見えてくることもあります。

同じ見方で、親を一度だけ眺めてみる。
それが、見方を作る第一歩です。

Step6:親の荷物を、親にお返しする

親の機嫌。
親の不安。
親の人生の不満。

それは本来、親自身が抱える荷物です。
でも、顔色をうかがう子どもは、
その荷物を代わりに背負って、バランスを取ってきました。

内省クラスで、
この荷物を降ろすワークをしたときのやりとりです。

田尻愛

田尻お母様やお父様の荷物を、全部お返ししたとしますね。そうしたら、どんな状態になりそうですか?
相談者さん

ある相談者さん人の顔色を、見なくてもよくなりませんか?
田尻愛

田尻いいですね、大正解ですよ。感情のジェットコースターの幅が、きゅっと狭くなるということですね。

親の荷物を返すと、人の顔色を見なくてよくなる。
ご本人の口から、答えが出てきた瞬間でした。

親の機嫌は、親の荷物。
機嫌を直したり、不機嫌の原因を探したりするのは、
あなたの係ではないんです。

頭の中で、荷物を仕分けてみる。

「これはお母さんの荷物」
「これはお父さんの荷物」
「これはわたしの荷物」

実際に、親に何かを言う必要はありません。
心の中で仕分けるだけでも、大丈夫ですよ😌

🔑 荷物を仕分けるコツ

親の機嫌が気になったら、
紙の真ん中に線を1本引きます。
線の片側に「親の荷物」、
もう片側に「わたしの荷物」と書きます。

「母の不機嫌」は、親の荷物の側へ。
「不機嫌に対するわたしの怖さ」は、わたしの荷物の側へ。

親の荷物には、手を出さない。
そう決めるだけで、抱えるものが減っていきます。

実家に帰る前の晩に、
この紙を書いてみるのも、ひとつの方法です。

鉛筆の線1本を挟んで両側に置いた小さな風呂敷包みのスケッチ
※挿絵はイメージです

Step7:親もまた、誰かの顔色を見て生きてきたと知る

最後のステップです。

ある相談者さんは、自分の親のことを掘り下げていく中で、
こんな事実に行き当たりました。

相談者さん

ある相談者さん父は、自分の親の顔色を見て、全部を決めてきた人だったんです。

顔色をうかがう癖は、
世代をまたいで受け継がれていることがあります。

親もまた、その親の顔色をうかがって育った子どもだった。
これは、「だから親を許しましょう」という話ではありません。

連鎖の全体像が見えてくると、
「自分が悪かったから」という思い込みが、ほどけはじめる。
そういうお話なんです。

その癖は、
あなたから始まったものではなかったのかもしれません。

連鎖に気づけたことが、
ほどいていく始まりになります。

🔑 連鎖を眺めるコツ

「親は、誰の顔色をうかがっていた人だろう?」と、
一度だけ考えてみます。

何か浮かんだら、それが連鎖の一つ上の段です。

答えが分からなくても、大丈夫。
「親にも、見ていた顔色があったのかもしれない」
そう思えるだけで、
親が、絶対的な存在から1人の人間に降りてきます。



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4. 親の顔色をうかがう癖がほどけてきたときの3つの変化

親の顔色をうかがう癖がほどけてくると、
日々の感じ方が変わっていきます。

内省クラスでお伝えしてきた変化を、
3つに分けてご紹介しますね。

① 感情の振れ幅
🥀 手が動いている間

掴めたら安心、掴めなかったら絶望の急降下

🌱 手が戻ってきたあと

気持ちの振れ幅が、少しずつ小さくなる

② 親を前にしたときの反応
🥀 手が動いている間

体がこわばって、怯えのモードに切り替わる

🌱 手が戻ってきたあと

一歩引いて、眺められる

③ 顔色の持ち主
🥀 手が動いている間

見ているのは、いつも他人の顔色

🌱 手が戻ってきたあと

自分の顔色にも、目を向けられる

変化1:感情の振れ幅が、少しずつ小さくなる

Step6で、
「ジェットコースターの幅がきゅっと狭くなる」と
お伝えした、その変化です。

人の機嫌に一喜一憂して、
一日のうちに大きく上がったり下がったりしていた気持ちが、
だんだん穏やかな波になっていきます。

これは、感情が鈍くなる、ということとは違います。

他人の機嫌に振り回されるところから離れて、
自分の足で立てるようになる、ということなんです。

気持ちは、これからも動きます。
でも、急降下は減っていくんです。

変化2:親を前にしても、怯えではなく「大丈夫?」で眺められる

Step5で作った「親の未熟さ」という見方が育ってくると、
同じ親の、同じ不機嫌を前にしても、
起こる反応が変わってきます。

以前は、体がこわばって、
頭が「どうしたら機嫌が直るか」の計算を始めていた。

それが、
心の中で「何を言ってるの? 大丈夫?」と、
一歩引いて眺められるようになっていくんです。

親に向かって口に出す言葉というより、
受け止め方の変化です。

親が変わったわけではありません。
見方が変わると、リアクションが変わる。

回復とは、こちらの反応の自由を、
取り戻していくことなんですよね。

変化3:自分の顔色にも、目を向けられるようになっていく

最後の変化です。

ずっと他人の顔色を読むことに使ってきた力。
その向き先が、少しずつ、
自分のほうにも向くようになっていきます。

うかがう対象だった「顔色」が、
最後は、自分の顔色の話になる。
ここが、この癖の回復で、わたしが好きなところです。


5. よくある3つの誤解と、つまずきポイント

手をほどく途中で、つまずきやすいところは、
だいたい決まっています。

内省クラスでも出てくる3つの誤解を、
先にほどいておきますね。

誤解1:「親の顔色をうかがうのは、生まれつきの性格」ではない

顔色をうかがう癖を、
「私は昔から気が小さいから」「繊細な性格だから」と、
生まれつきのものだと思っている方もいらっしゃいます。

でも、この記事で見てきたとおり、
癖の出どころは環境にあります。

予測のつかない怒り。
安心の足りない時間。
機嫌が家を動かす空気。

その中で、後から身につけた技術なんです。
後から身につけたものは、後から手放していけます。

「性格だから」と思うと、選べることが見えにくくなります。
技術だと分かると、選び直せるんですよね。

誤解2:「親を責めるか、許すかの二択」ではない

親子の問題に向き合おうとすると、
「親を悪者にしたくない」というブレーキと、
「許さなきゃいけないの?」という反発のあいだで、
動けなくなることがあります。

この記事でお伝えした「親の未熟さ」という見方は、
責めるか、許すかのあいだにある、
3つ目の選び方です。

親を、感情の扱いが苦手だった、
1人の人間として眺め直す。

責める必要も、許す必要もない。
等身大に見えれば、それでいいんです。

縁を切らなくても、回復はしていけます。
距離の取り方は、見方が変わったあとで、
あなたが選んでいいんですよ😌

誤解3:「顔色をうかがう力は、捨てるべき欠点」ではない

長い時間をかけて磨かれた、あなたの顔色を読む力。
実は、とても頼りになるものです。

人の気持ちの変化に気づく速さ。
場の空気を読む細かさ。
これ自体は、対人の仕事でも友人関係でも活きるんです。

問題だったのは、
休む時間がなかったことと、
向き先が「怖い相手」に決まっていたことのほう。

だから、目指すのは、この力をなくすことより、
必要なときに使って、必要のないときは休ませること。
そして、自分の心の状態にも向けてあげることです。

そうすると、あなたを疲れさせてきた力が、
あなたを守る力にもなっていきます。

💡 この記事のまとめ

親の気持ちを掴もうとして、
動き続けてきた手。

その手を、少しずつ自分のほうへ戻していく。
それが、この記事でお伝えしたかった回復の道筋です。


6. おわりに|うかがう顔色から、自分の顔色へ

親の顔色をうかがう子ども時代を生き延びて、
大人になった今、この記事にたどり着いてくださったあなた。

その胸の中には、
「もう、掴もうとする手を休ませたい」という気持ちも、
あるのだと思います。

必死か絶望かの二択の中で生きてきたあなたには、
人の心の動きに早く気づける力が、
もう備わっています。

今から、新しく何かを身につける必要はないんです。
ただ、その力の向き先を、
怖かった誰かの顔から、
あなた自身の心へ戻してあげてほしいんです。

少しずつで、大丈夫ですよ😌

机に置いた小さな手鏡に光だけが映っているスケッチ

最後に、ひとつだけ問いを置いておきますね。

今日、鏡の中のあなたは、
どんな顔色をしていましたか?

誰かの顔色をうかがう日々から、
自分の顔色を整える日々へ。
この記事を読み終えた今が、
その折り返し地点になるのかもしれません。

ご多忙の中、最後までお目通し頂きありがとうございます。今日も、ご自身の心の声に耳を澄ませて、自分にたくさんの愛情を注いであげてください🙏

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