「完璧主義をやめたいのに、ちょっと手を抜くと不安で結局やりすぎてしまう」
「8割できているのに、できていない2割ばかりが気になって苦しい」
「もう十分なはずなのに、納得いくまで仕上げたくて、いつまでも手放せない」
ちゃんとやろうとしているだけなのに、なぜか毎日くたびれている。
そんな自分を「もっと気楽になりたい」と思いながら、その「気楽になること」さえ完璧にやろうとしてしまう。
そういうメンバー様が、内省クラスでも本当によくいらっしゃいます。
「もう少し肩の力を抜いていいよ」と言われても、抜き方がわからない。
むしろ抜こうとすると、地面が消えるような不安がやってくる。
そのもどかしさ、すごくわかります。
今回の記事では、累計3000件以上の内省クラスをお引き受けしてきた中で、メンバー様と繰り返し確かめてきた1つの結論をお伝えします。
完璧主義とは、「不完璧=完璧」を知らない状態のことです。
📝 「不完璧=完璧」とは
満月だけが「完璧な月」ではなく、欠けた月も、そのままで完璧——というのと同じです。
どの月も等しく美しく、どの月も完璧なんです。
完璧主義のしんどさは、満月だけを完璧と決めつけて、それ以外の自分を裁いてしまうところから生まれているんですよね。
📝 「不完璧主義」とは
完璧主義の反対側にある、もうひとつの立ち位置です。
「不完璧=完璧」を体で知っていて、欠けたまま・8割のままでも『これでいい』と心から思える生き方のこと。
完璧主義を手放すとは、何もこだわらなくなることではなく、この『不完璧主義』へ少しずつ立ち位置を移していくことなんです。
この見方が頭の片隅にあるだけで、完璧主義との向き合い方がずいぶん変わっていきます。
気がついた頃には「あれ、最近そんなにガチガチじゃないかも」という軽さに、自然と近づいていけたりするんですよね。
ここからは少し長いお話になります。
お茶でも淹れながら、ご自身のペースでゆっくり読み進めて頂ければ嬉しいです😌
■ 目次
- なぜ完璧主義になってしまうのか — 完璧主義の正体は「減点法のメガネ」
- 完璧主義には2種類ある — 苦しくなる完璧主義 と 楽しくなる不完璧主義
- 完璧主義の人に共通する5つのサイン
- 完璧主義を手放す7つのステップ
- 完璧主義を手放した人に起こる3つの変化
- よくある誤解と、つまずきポイント
- おわりに:あなたはもう、充分に足りている
■ なぜ完璧主義になってしまうのか — 完璧主義の正体は「減点法のメガネ」
「完璧を目指す=正しいこと」ではない!?
「完璧主義」という言葉を辞書で調べてみると、こんな説明が出てきます。
物事を完全になし遂げないと気がすまない性格や態度。
ここに書かれているのは、あくまで 「とことんやり遂げたい気質」 という、淡々とした説明です。
だから多くの方が「完璧を目指すのは、まじめで立派なことだ」と受け取ってしまうのも、ごく自然なことですよね。
ただ、この説明だけでは、なぜ完璧主義がここまで人を疲れさせるのかまでは見えてきません。
累計3000件以上の内省クラスでメンバー様の心と向き合ってきた中で、もう一歩奥に進んだ景色が見えてきました。
完璧主義の正体は「減点法のメガネ」をかけ続けている状態
完璧主義で苦しんでいる方の心の中で、本当に起きていることはこうです。
最初から自分を100点に置いておいて、できていないところを見つけるたびに、心の中で点数を引いていく。
この「引き算で自分を見るクセ」を、私は 「減点法のメガネ」 と呼んでいます。
このメガネをかけていると、何をやっても満点には届きません。
8割うまくいっても、残りの2割の「できなかったこと」だけが大きく見えてしまう。
だから、どれだけ頑張っても「まだ足りない」という感覚が消えないんですよね。
→
100点が当たり前
→
できない所だけが目につく
→
0点からスタート
→
できた所が積み上がっていく
同じ1日を過ごしても、減点法のメガネで見ると「あれもできなかった、これも足りなかった」と落ち込みます。
加点法のメガネで見ると「これができた、あれもできた」と満たされます。
やったことの中身は、まったく同じなのにです。
そして、ここがいちばん大切なところなのですが、減点法のメガネをかけ続ける根っこには、冒頭でお伝えした不安が眠っています。
「ありのままの私では、受け入れてもらえないかもしれない」 という不安です。
だからこそ、せめて完璧でいることで、自分の居場所をなんとか確保しようとしているんですよね。
完璧主義は「自己ジャッジ」と地続きでつながっている
減点法のメガネで自分を見ている時、その奥では何が起きているのでしょうか。
じつは、自分で自分を裁き続けているのです。
「ここができていない私はダメだ」
「まだこの程度しかできない私は情けない」
これは、姉妹記事「自分をジャッジしてしまう人へ」でお伝えしている 自己ジャッジ と、根っこが同じ動きなんですよね。
完璧主義は、自分への減点という形をとった、自己ジャッジの一種だったりします。
完璧主義の動機を言語化すると、毎日がだいぶ過ごしやすくなる
同じ「ちゃんとやろう」という行動に見えても、その動機がどこから来ているかで、毎日の感覚はまるで違うものになります。
- 完璧主義を そのまま続けてしまう方 は、できない自分を責める声がどんどん大きくなって、何をしても満たされなくなっていきます。
- 完璧主義の動機を 言葉にしてみる方 は、「私は何を怖がって、こんなにやりすぎていたんだろう」が見えてきて、少しずつ手を緩められるようになっていきます。
これは私の頭の中だけの理屈ではなく、累計3000件以上の内省クラスで、メンバー様と一緒に何度も確かめてきた事実なんです。
■ 完璧主義には2種類ある — 苦しくなる完璧主義 と 楽しくなる不完璧主義
「完璧主義」とひとくくりにしてしまうから、頭の中でこんがらがってしまうんですよね。
よく見てみると、じつは中身のまったく違う 2種類 が混ざっています。
今のご自身がどちら寄りかを知るだけで、付き合い方は大きく変わっていきます。
ざっくり言うと、こんな違いです。
| 苦しくなる完璧主義 | 楽しくなる不完璧主義 | |
|---|---|---|
| 出発点 | 恐れベース(怖いから) | 好きベース(好きだから) |
| 見方 | 減点法(引き算) | 加点法(足し算) |
| 物差し | 他人軸(評価が基準) | 自分軸(納得が基準) |
| やめ時 | やめられない | 自分で決められる |
| やった後 | くたびれる・不安が残る | 充実する・満ちている |
【1】苦しくなる完璧主義の3パターン
(1)恐れベース型
例:「失敗したら、もう価値がないと思われる」「ミスしたら見捨てられる」
ここでの完璧さは、怖さから逃げるための行為 です。
「ちゃんとやらないと嫌われる」という恐れが燃料になっているので、どれだけ完璧にしても安心は長続きしません。
怖さが消えない限り、終わりのないチェックが続いてしまうんですよね。
(2)減点法型
例:「8割できたけど、あの2割がダメ」「できて当たり前、できなくて減点」
ここでの完璧さは、100点を基準にして、足りないところを数える行為 です。
最初から満点に置いているので、何をしても「マイナス」しか見えません。
うまくいった部分は当たり前として扱われ、心に残るのは「できなかった部分」だけになっていきます。
(3)他人軸型
例:「これで合格点をもらえるだろうか」「あの人に何か言われないだろうか」
ここでの完璧さは、他人の評価を物差しにした行為 です。
自分が納得したかどうかではなく、「相手にどう見えるか」が基準になっています。
だから、評価する相手がいる限り、いつまでも気が休まらないのです。
【2】楽しくなる不完璧主義の3パターン
(1)好きベース型
例:「ここはどうしても、こうしたい」「自分が気持ちいいから、ここを整える」
ここでの不完璧主義は、自分の本音からの「好き」が外に流れ出た形 です。
誰かに見せるためではなく、自分が満足するためにやっているので、やっていて疲れません。
むしろ、やればやるほど元気が出てきたりします。
(2)加点法型
例:「ここまでできた、いい感じ」「次はもう少し良くしてみよう」
ここでの不完璧主義は、0点からスタートして、できたところを積み上げていく行為 です。
できたことが見えるので、自分にOKを出しながら進めます。
「足りない」ではなく「ここまで来た」という感覚で前に進めるんですよね。
(3)自分軸型
例:「私としては、ここで充分納得」「私が決めた合格ラインに届いた」
ここでの不完璧主義は、自分の納得を物差しにした行為 です。
合格ラインを自分で決められるので、ちゃんと「やめ時」を自分で選べます。
評価する相手がいてもいなくても、自分の中で完結できるんですよね。
あなたの完璧主義は、今どちら側?
最近、ご自身が「ちゃんとやらなきゃ」と力が入った瞬間を、ひとつ思い出してみてください。
さきほどの6パターンのうち、いちばん近いものはどれだったでしょう?
ここで大切なのは、仮に「苦しくなる完璧主義」側に当てはまっていたとしても、ご自身を責めないこと ですね。
むしろ、心当たりがあるならぜひ喜んで頂きたいくらいです。
それだけ、これから心がほどけていく余白が、たっぷり残されているということですから😌
■ 完璧主義の人に共通する5つのサイン
「どうして私、こんなにガチガチに完璧を目指しちゃうんだろう…」と悩んで内省クラスに来られる方が、繰り返し相談に持ってこられる5つのサインを共有しますね。
1つでも当てはまるものがあれば、それは責めるべきものではなくて、ようやく自分と向き合うタイミングが整ってきた合図 なんですよ。
🔍 5つのサイン・セルフチェック
- ☐ サイン1:できた8割より、できなかった2割が気になる
- ☐ サイン2:「終わらせる」より「完璧にする」を選んでしまう
- ☐ サイン3:人に頼めず、全部自分で抱えてしまう
- ☐ サイン4:「やるなら完璧、できないなら最初からやらない」になりがち
- ☐ サイン5:褒められても、欠点ばかり指摘してしまう
サイン1:できた8割より、できなかった2割が気になる
仕事でも家事でも、ほとんどうまくいったのに、たった1つのミスや、やり残しのことばかりが頭に残る。
「あそこ、もっとこうできたな」が、寝る前まで頭の中をぐるぐる回ってしまう。
このサインが出ている時、頭の中ではこんな声が響いています。
「できて当たり前、できなくて減点」
「あの2割が、私の評価を下げる」
「うまくいった部分は、努力のうちに入らない」
これは、減点法のメガネが、しっかりピントを合わせているサインだったりします。
ちなみに自分軸で動いている方なら、同じ1日でも「今日はこれとこれができた、上出来」と、できた部分にちゃんとピントを合わせられたりします。
できなかった所ばかりに目がいく私たちとは、心の中のメガネがまるごと違うんですよね。
サイン2:「終わらせる」より「完璧にする」を選んでしまう
提出期限が迫っているのに、細かいところが気になって、なかなか手放せない。
「もう充分」と頭ではわかっているのに、何度も見直して、いつまでも完成にできない。
このサインは、「完成させること」より「完璧にすること」が優先されている サインです。
本来、世に出して初めて意味を持つはずなのに、自分の中の100点に届かないと外に出せない。
そうすると、せっかくの良いものが、いつまでも自分の手の中で止まってしまうんですよね。
ちなみに自分軸で動いている方なら、「60点でもまず出して、反応を見ながら良くしていこう」と、サラッと前に進めたりします。
手放せずに抱え込む私たちとは、完成への向き合い方が180度違うんですよね。
サイン3:人に頼めず、全部自分で抱えてしまう
「人に任せると、自分の思った通りにならない」
「説明する手間を考えたら、自分でやった方が早い」
そう思って、気づけば一人で全部背負っている。
このサインが出ている時、起きているのは 「他人の60点が許せない」 状態だったりします。
自分にだけでなく、周りにも完璧を求めてしまうので、安心して任せられる相手がいなくなってしまう。
結果として、仕事も家事も、どんどん自分一人に集まってきてしまうんですよね。
ここで覚えておいて頂きたいのは、誰かに任せることは、手抜きではない ということです。
むしろ「相手の60点を信じて預ける」というのは、勇気のいる、立派な力なんですよね。
ちなみに自分軸で動いている方なら、「この人なりのやり方でいい」と、安心して人に任せられたりします。
全部抱え込む私たちとは、他人への信頼の置き方がまったく違うんですよね。
サイン4:「やるなら完璧、できないなら最初からやらない」になりがち
新しいことを始めようとすると、「中途半端になるくらいなら、やらない方がマシ」と思ってしまう。
完璧にできる自信がないと、最初の一歩がどうしても踏み出せない。
このサインは、完璧主義が 挑戦そのものにブレーキをかけている サインです。
本当はやってみたいことがあるのに、「うまくできないかも」という不安が、行動の前に立ちはだかってしまう。
そうして、やりたかったことが、どんどん「いつかやること」のままになっていくんですよね。
ちなみに自分軸で動いている方なら、「下手でもまずやってみよう、やりながら覚えればいい」と、軽やかに始められたりします。
完璧にできる確信がないと動けない私たちとは、最初の一歩への構え方がまったく違うんですよね。
サイン5:褒められても、欠点ばかり指摘してしまう
誰かに「すごいね」「よくできてるね」と褒められても、素直に受け取れない。
「いえいえ、ここがまだダメで」「全然です、本当はもっと…」と、自分で自分の欠点を探してしまう。
このサインは、完璧主義を支えている 一番の燃料 みたいなものだったりします。
減点法のメガネをかけていると、人からのプラス評価でさえ、自分の中で減点に置き換えてしまうんですよね。
「まだ足りない」が口グセになっているうちは、どれだけ褒められても、心は満たされません。
しかも厄介なのが、完璧主義を直そうとすると、今度は「完璧に直そう」としてまた力が入ってしまう、というところだったりします。
ちなみに自分軸で動いている方なら、「ありがとう、うれしい」と、まっすぐ受け取れたりします。
褒め言葉さえ減点に変えてしまう私たちとは、自分への評価のしかたがまったく違うんですよね。
■ 完璧主義を手放す7つのステップ
さあ、ここからが今回の記事でいちばんお伝えしたい部分です。
「完璧主義を手放す」と聞くと、「もう適当でいいんだ」「手を抜くことなんだ」と思いがちですよね。
でも本当はそうではなくて、減点法のメガネを加点法のメガネにかけ替えて、自分にOKを出しながら進めるようになる という、やさしい作業のことなんです。
その流れを、7つのステップに分けてお話ししていきますね。
ぜんぶを一気にやらなくて大丈夫です。
今のメンバー様の心にいちばんしっくり来る1つだけでも始めて頂ければ、それで充分すぎるくらいなのですよ。
🗺 7つのステップ 全体マップ
- 1「あ、今いつものメガネかけてるな」と気づく
- 2完璧主義の奥にある「不安」を言語化する
- 3「上出来ライン(60点で合格)」を先に決めておく
- 4減点法を加点法に塗り替える
- 5「わざと60点で出す」小さな実験をしてみる
- 6苦しい完璧主義を、楽しい不完璧主義に塗り替える
- 7「不完全な自分への尊重」を育てる
Step 1:「あ、今いつものメガネかけてるな」と気づく
最初の一歩は、見た目はとても地味なのに、いちばんよく効く一歩です。
「もっとちゃんとしなきゃ」「まだ足りない」という声が湧いた瞬間に、心の中でこうつぶやいてみてください。
「あ、今、減点法のメガネかけてるな」
本当に、それだけでOKなのです。
完璧を求めてしまう自分を、否定しない・責めない・消そうとしない。
少し離れたところから、自分を見守るような目 で眺めてあげてみてくださいね。
これを続けていくだけで、完璧主義は急に勢いをなくしていきます。
完璧主義は、気づかれていない時がいちばん強い からなんですよね。
気づかないままだと、いつまでも自分を減点し続けてしまいます。
ところが「あ、今、できない所だけ数えてるな」と気づけた瞬間、その動きは少し重たくなって、自然にゆるんでいくんですよ。
「気づく」と「やめる」は、同じことではありません。
ですが、気づかなければ、やめることもできない のです。
気づきを助けてくれる、こんな問いかけもおすすめですよ。
「今、私は100点から引き算してる?それとも0点から足し算してる?」
このひと言を自分に投げかけるだけで、心の中のメガネがどっちなのかが、はっきり見えるようになっていきます。
Step 2:完璧主義の奥にある「不安」を言語化する
Step 1で「あ、メガネかけてるな」と気づけたら、次にこう自分に尋ねてみてくださいね。
「私はもし、これを完璧にできなかったら、何が起きると思っているんだろう?」
完璧主義の奥には、ほぼ必ず 「こうなったら怖い」という具体的な不安 が隠れています。
- ミスしたら、能力がないと思われる
- 雑にやったら、見捨てられる
- 隙を見せたら、つけ込まれる
- 期待に応えられなかったら、価値がなくなる
- 不完全な姿を見せたら、嫌われる
これらの不安は、決しておかしなものではありません。
冒頭でもお伝えしたとおり、完璧主義は 「不完璧=完璧」を知らないところから自然に生まれてくる習慣 です。だから、不安があること自体を責める必要は、まったくないんですね。
ある内省クラスのメンバー様は、長年「何でもきっちりやる人」として生きてこられた方でした。
このStep 2を試して頂いたら、出てきた答えは 「ちゃんとできない私を見せたら、いらない人扱いされる」 でした。
そしてさらに掘り下げると、その奥には 「子どもの頃、できた時だけ親が機嫌よくしてくれた経験」 が見えてきたのです。
「完璧=愛される条件」という思い込みが、大人になっても心の地図に残り続けていたんですね。
このように、不安を言語化すると、完璧主義の背景にある 「自分が本当に欲しかったもの」 が見えてきます。
そのメンバー様が本当に欲しかったのは、満点の成果ではなく、「何もできなくても、ここに居ていい」という安心 だったのです。
ここまで来れば、完璧さで安心を買い続ける必要は、もうなくなっていきます。
Step 3:「上出来ライン(60点で合格)」を先に決めておく
ここからは、少し勇気のいる行動に入りますよ。
完璧主義を手放すには、「気づいたら手を緩めよう」という気合いだけのやり方では、なかなか間に合いません。
気づいた頃には、もう100点を目指すスイッチが入ってしまっているからなんですよね。
代わりに、取りかかる前に「上出来ライン」を先に決めておく のが、いちばんよく効きます。
「ここまでできたら、もう合格にする」というラインを、先に自分で引いておくのです。
私はこのラインを、「上出来ライン」 と呼んでいます。
そして、その合格点は 60点 くらいに置いておくのがおすすめです。
例えば:
– 資料づくり → 「伝わる形になったら合格。見た目の細部は気にしない」
– 部屋の掃除 → 「目につく所が片づいたら合格。引き出しの中までやらない」
– 食事づくり → 「あたたかいごはんが出せたら合格。品数は問わない」
最初は、60点で手を止めることに、強い罪悪感が湧きます。
「こんな中途半端でいいの?」「もっとできるのに」という声が、頭の中で響きます。
その声に、こう返してみてください。
「60点でちゃんと完成。100点を目指して止まり続けるより、60点で前に進む私の方が、ずっと健やかです。」
上出来ラインを先に決めておくと、完璧主義のスイッチが入る前に手を止められます。
そして、「60点で出しても、世界は終わらなかった」という体験を重ねるうちに、心の合格ラインそのものが、だんだんゆるんでいきますよ。
Step 4:減点法を加点法に塗り替える
ここが、今回の記事でいちばん大事な分かれ目になります。
完璧主義の正体は、くり返しお伝えしてきた通り「減点法のメガネ」でした。
このメガネを、加点法のメガネにかけ替える練習 をしていきましょう。
やり方は、とてもシンプルです。
1日の終わりに、こう自分に問いかけてみてください。
「今日、できなかったことは数えない。できたことを、3つ数えてみよう。」
最初は、なかなか思い浮かばないかもしれません。
減点法のメガネに慣れていると、「できたこと」が当たり前すぎて、目に入らないからです。
それでも大丈夫です。
ちっちゃなことで構わないので、無理やりにでも3つ探してみてください。
- 朝、ちゃんと起きられた
- 期限に間に合わせた
- 家族にひと言、やさしい言葉をかけられた
「こんな小さいこと?」と思うかもしれません。
でも、その小さいことを数え始めた瞬間から、心のメガネは加点法に切り替わり始めます。
塗り替えのコツは、「足りない」を「ここまで来た」に言いかえる ことです。
| 減点法のメガネ(引き算) | 加点法のメガネ(足し算) |
|---|---|
| 「まだ8割しかできていない」 | 「もう8割もできた」 |
| 「あの2割がダメだった」 | 「8割うまくいった、上出来」 |
| 「完璧じゃないと意味がない」 | 「ここまでできたら充分価値がある」 |
| 「できて当たり前」 | 「できたこと、ちゃんとえらい」 |
| 「もっとやらなきゃ」 | 「今日はここまでで、よくやった」 |
文字に起こしてみると、扱っている事実はまったく同じなのに、心に残るものが正反対だとわかります。
事実を変えるのではなく、事実の見方を変える のが、塗り替え作業の本質です。
この塗り替えは、最初はぎこちなく感じるかもしれません。
ですが、くり返すうちに、自分を減点しかけた瞬間に、ほぼ自動で加点法に切り替えられるようになります。
そこまで来ると、毎日が「できなかったことの反省会」ではなく、「できたことの確認会」に変わっていきますよ😌
Step 5:「わざと60点で出す」小さな実験をしてみる
ここまで来たら、頭で分かったことを、体で確かめる番です。
完璧主義は、頭で「ゆるめよう」と思うだけでは、なかなか手放せません。
「60点で出しても大丈夫だった」という体験 を、体に通してあげる必要があるんですよね。
そこで、小さな実験をひとつ、おすすめします。
日常の中で、あえて60点くらいで止めて、外に出してみる のです。
例えば:
– メールの返信を、推敲しすぎずにサッと送ってみる
– 完璧に準備できていなくても、その場の話に飛び込んでみる
– 「もうひと手間」と思った所で、あえて手を止めて提出してみる
実験のポイントは、「結果がどうだったか」をちゃんと観察する ことです。
ほとんどの場合、こう気づきます。
「あれ、60点で出したのに、誰も困っていなかった」
「むしろ、早く出したことを喜ばれた」
「私が気にしていた2割に、相手は全然気づいていなかった」
この体験が、心の中の「不完璧な私はダメ」という思い込みを、少しずつ溶かしていきます。
頭で100回「大丈夫」と唱えるより、1回の「大丈夫だった」という体感 の方が、ずっと深く効くんですよね。
最初は、心臓がドキドキするかもしれません。
それで大丈夫です。そのドキドキこそ、長年の思い込みがゆるみ始めているサインですから。
小さな実験を1つずつ重ねるたびに、「不完全でも、ちゃんと生きていける」という確信が、体に積み上がっていきますよ。
Step 6:苦しい完璧主義を、楽しい不完璧主義に塗り替える
ここまで来たら、いよいよ塗り替え作業の本番です。
第2章でお伝えした通り、完璧主義には「苦しくなる完璧主義」と「楽しくなる不完璧主義」の2種類がありました。
このステップでは、その境目を、自分の手で引き直していきます。
「苦しくなる完璧主義」の構造は、こうなっています。
❌ 「苦しくなる完璧主義」の構造
(大きな主役)
(隅っこに少しだけ)
「楽しくなる不完璧主義」の構造は、こうです。
⭕ 「楽しくなる不完璧主義」の構造
(主役)
(自然についてくる)
完璧主義を「全部やめなきゃ」と思うのが、じつは罠なんですよね。
完璧を求めること自体は、悪いことではありません。
ただ、主役が「恐れ」なのか「好き」なのか、その位置が違うだけ なんです。
塗り替えの一言は、こうです。
「私はこれを、怖いからではなく、好きだから、できる範囲でこだわる。」
たったこのひと言を、取りかかる前に唱えるだけで、苦しい完璧主義は楽しい不完璧主義に塗り替わり始めます。
「怖いから」を「好きだから」に、そして「徹底的に」を「できる範囲で」に。
この2か所を入れ替えるだけで、同じ行動が、まるごと別の手触りに変わるのです。
判別の問いは、1つだけです。
「これは、怖くてやめられないのか?それとも、好きでやっているのか?」
怖くてやめられないなら、苦しくなる完璧主義。
好きでやっていて、いつでも自分の意志でやめられるなら、楽しくなる不完璧主義です。
この問いを習慣にすると、自分の中の「手放すべき完璧主義」と「大切にしていい不完璧主義」が、自然と仕分けされていきます。
完璧主義を全部消すのではなく、苦しい部分だけを少しずつ手放して、好きな部分は大事に残す。
それが、いちばん健やかな手放し方なんですよね。
Step 7:「不完全な自分への尊重」を育てる
最後のステップは角度を変えて、完璧主義を扱うときの「自分との接し方」の話です。
これまで「完璧な自分」しか許してこなかった方にとって、不完全な自分を受け入れるのは、最初はとても落ち着かない感覚です。
「こんな私でいいの?」「もっとちゃんとしなきゃいけないのでは?」と、不安になったりします。
でも、ここでいちばん大切なのは、自分へのジャッジを、自分への尊重に塗り替えていく ことなんですよね。
これは、姉妹記事「自分をジャッジしてしまう人へ」でお伝えしている サバキ→尊重 の塗り替えと、根っこが同じ作業です。
ジャッジ(裁き)は、「できていない私はダメ」と自分を減点します。
尊重は、「できない部分も含めて、これが私」と自分をまるごと認めます。
不完全な自分を尊重したい時は、心の中で、こんなふうに自分に声をかけてみてください。
「完璧じゃない私のままで、ここに居ていい。」
最初は、嘘くさく感じるかもしれません。
それで構いません。
人は、長年抱えてきた思い込み(完璧=愛される条件)を変える時、最初は強い違和感を感じるものです。
ですが、この違和感を超えて声をかけ続けると、ある日、「あ、本当にそうかもしれない」 と心から納得できる瞬間がやってきます。
日常の小さな場面で、こんなふうに自分に声をかけてみるのもおすすめですよ。
「ミスした私、まあ人間だもんね」
「ちょっと雑な私、これはこれで愛嬌あるかも」
「全部できなくても、私は私で大丈夫」
最初の1週間は、「本当かなあ」と頭に?が浮かぶかもしれません。
2週間目から、なんとなくそんな気がしてくるような気がしてきます。
3週間目には、「不完全な私、意外と悪くないかも」と自分の中で思える瞬間が増えていきますよ。
このワークは即効性はないですが、確実に積み上がります。
思い出すたびに自分につぶやくだけで、長年こびりついた「完璧=条件」が、だんだん溶けていく 変化を体験できますよ。
ここまで長い7つのステップを読んでくださり、本当にありがとうございます。
仕組みを把握して頂いた時点で、もう変化は始まっていますよ。
そして、ひとつだけ覚えておいて頂きたいことがあります。
自分の不完全さを許せるようになった人は、他人の不完全さも許せるようになります。
完璧を求めなくなった人の周りには、不思議と、肩の力の抜けた、あったかい人たちが集まってきます。
完璧主義の手放しは、自分一人の問題に見えて、あなたの周りの人間関係全体を、まるごと軽くしていく入り口だったりするんですよね😌
■ 完璧主義を手放した人に起こる3つの変化
7つのステップをじっくり重ねていくと、完璧主義との関係は少しずつ変わっていきます。
変わった後の景色は、変わる前からは想像しにくいものです。
ここでは、内省クラスで実際にメンバー様が体験されてきた、3つの変化をお伝えしますね。
📊 完璧主義を手放すと、こう変わる
| Before(完璧主義時代) | After(手放したあと) |
|---|---|
| やり終えても不安が残る | 「これで充分」と思えて満ちる |
| なかなか手放せず時間がかかる | 早く出せて、行動の量が増える |
| 人に頼めず一人で抱える | 安心して人に任せられる |
変化1:心が軽くなって、毎日が満ちる
これが、最も体感的な変化です。
以前なら、何をやり終えても「まだ足りない」という不安が、ずっと胸に残っていた。
できたことは当たり前で、できなかったことばかりが頭にこびりついていた。
ところが、加点法のメガネに切り替わると、不思議なことに 「今日も、これだけできた」と満ちる感覚 が育っていきます。
理由はシンプルです。
減点法のメガネは、どこまでいっても満点に届かない からです。
見方を加点法に塗り替えた分だけ、心は満たされていきますよ。
ある内省クラスのメンバー様は、3ヶ月続けたあと、こうおっしゃっていました。
「やっている量は変わらないんです。なのに、夜の気分が全然違うんですよ。前は『今日も詰めが甘かった』と反省して眠っていたのに、今は『今日もよくやったな』と思って眠れるようになったんです。」
変化2:行動が早くなって、結果がついてくる
完璧主義を手放すと、面白い現象が起きます。
完璧さへのこだわりは減るのに、結果の質はむしろ上がる のです。
これは矛盾ではありません。
完璧主義で抱え込んでいた頃は、1つのことを手放せず、ずっと自分の手の中で温めていました。
ところが上出来ラインで前に進めるようになると、早く外に出して、反応を見ながら良くしていけるようになります。
頭の中で100点を磨き続けるより、60点を出して相手の声を聞いた方が、結果として良いものになるんですよね。
そして、行動の量が増えると、その分だけチャンスも増えます。
完璧を待っている間に止まっていた時間が、動き出す時間に変わっていくのです。
変化3:自分にも他人にも、やさしくなれる
完璧主義を手放すと、自分との関係が変わります。
「完璧にできなくても、私はここに居ていい」
「ミスする私も、雑な私も、まるごと私だ」
そう自分を見られるようになると、自然と自分への尊重が深まります。
そしてこれは、人間関係のあらゆる場面に波及します。
自分の不完全さを許せる人ほど、他人の不完全さも許せる。
他人の不完全さを許せる人ほど、安心して人に頼める。
安心して人に頼める人ほど、一人で抱え込まなくなる。
すべての出発点は、不完全な自分をどう扱うか から始まっています。
そしてもう1つ、見落とされがちな変化があります。
それは、誰かのミスに出会った時の反応 が変わることです。
以前なら、誰かが雑な仕事をした時、心の中で「ちゃんとやってよ」とイラッとしていたかもしれません。
ところが、自分の完璧主義を言語化できるようになった人は、相手のミスを、減点法のメガネで裁かなくなります。
「ああ、この方も、不完全な自分を出すのが怖かったのかもしれないな」と、相手の心の地図を、あたたかい眼差しで眺められるようになるのです。
これは、相手を見下すことではありません。
自分も同じ場所を通ってきた からこそ、相手の構造が理解できるのです。
そしてこの理解は、人間関係の中で、何にも代えがたい資産になります。
■ よくある誤解と、つまずきポイント
ここでは、完璧主義を手放す道のりで、メンバー様が必ずと言っていいほど通る誤解を、3つだけお伝えしておきますね。
誤解1:「完璧主義をやめる=手抜き人間になる」ではない
完璧主義を手放そうとすると、「それって、いい加減になるってこと?」「雑な人になるのでは?」と心配される方がいらっしゃいます。
全く違います。
いい加減な人とは、自分の納得もこだわりも持たず、何も大切にしない人のことです。
完璧主義を手放すとは、いい加減の反対方向の作業 です。
上出来ラインで前に進む人の方が、結果的に行動の質も量も整います。
ただ、「100点でないと出せない」という、自分を縛るルールが外れるだけなんですよね。
誤解2:「不完全な私には価値がない」ではない
これは、完璧主義の方の、最も深い縛りです。
完璧さと価値が、心の中でガッチリ結びついている。
ですが、ここまで読んで頂ければわかるように、完璧さと価値は 別の次元の話 です。
完璧さは、その時々の出来栄えに対する一時的な評価。
価値は、あなたが存在しているだけで、もう揺るがないものです。
完璧にできるかどうかは、あなたの価値の証明ではありません。
あなたはすでに、不完全なまま、充分に価値ある存在として、ここにいます。
誤解3:「完璧主義は性格だから、もう直らない」ではない
「私は昔から完璧主義だから、もう変われない」と諦めている方もいらっしゃるかもしれません。
これも誤解です。
完璧主義は「性格」ではなく、減点法のメガネをかけ続けてきた習慣 のことです。
習慣は、性格と違って、いつからでもかけ替えられます。
くり返しになりますが、何かを大切にする感受性そのものは消せませんし、消す必要もありません。
ですが、自分を減点するクセは、加点に塗り替えられるスキルです。
スキルなので、誰でも、いつからでも、身につけていけるんですよね。
■ おわりに:欠けた月のままで、もう完璧
ここまで、完璧主義をやめたい自分との向き合い方を、内省クラスでお話ししている内容をベースにお伝えしてきました。
最後にひとつだけ、お伝えしておきたいことがあります。
完璧主義は、いまから新しくゼロから手放すもの ではないんです。
メンバー様の中には、もうすでに「欠けたままで充分」と感じられる感覚が、ちゃんと持ち合わせとして備わっています。
ただその感覚に、「満月だけが完璧」という長年の思い込みが、上から蓋をしてしまっていた だけなんですね。
その思い込みを、一気に全部外そうとしなくて大丈夫です。
自分への見方を少しずつ加点法に変えてあげるだけで、もともとあったその感覚は自然と顔を出してきてくれますから。
「完璧をやめよう」と力む必要も、ぜんぜんありません。
むしろ「やめること」まで完璧にやろうとすると、また同じループに入ってしまいますしね。
「あ、今、減点法のメガネかけてるな」と気づけたら、もうそれだけで充分なんです。
そして、ひとつ嬉しいことをお伝えしておきますね。
完璧主義を手放したメンバー様の毎日は、これまでよりも 軽くて、あたたかくて、満ちた ものに変わっていきます。
「不完全な私のままで、ちゃんと足りているんだ」という当たり前のことが、心の中にすとんと落ちてきた時、世界の見え方はびっくりするくらい優しくなっていくのです。
ご多忙の中、最後までお目通し頂きありがとうございます。
今日も、ご自身の心の声に耳を澄ませて、自分にたくさんの愛情を注いで差し上げてください🙏
